文・撮影 ちょい旅ライター 水田ウタコ
「気持ちより5㎝先にカラダが動く」水田ウタコが、北近畿周辺の施設や飲食店に出向いて、見たこと、感じたことを自由につづる「ちょい旅」紀行。第1回の目的地は「植村直己冒険館」だ。さてさて、どんな旅になったのか?
ウタコ、いざ出発!
はじめまして。
突然ですが、この度「ふくたん」で北近畿界隈をふらふら縦横無尽に遊んで食べまわるコーナーを担当させて頂くことになりました、水田ウタコと申します。
広島県福山市出身、関西に15年間程在住、1年間は沖縄に住んで、半年は中米におりました。流れ流されて、これまでで計21回の引っ越しを経て、なんの縁もゆかりもなかった綾部市に軟着陸したのが2014年。以降、3人の子どもたちを(たまに夫S氏も)連れだったり、ソロだったり、北近畿一円をわちゃわちゃと遊び歩いております。
どうぞ、以後お見知りおきを。
そんなこんなで第1回目。
本日の目的地は、兵庫県豊岡市の「植村直己冒険館」。
思い起こせば15年ほど前。当時の彼氏(現・夫)S氏となぜか2人ではせ参じたことがある憶が残るのみ。
そんな植村直己冒険館が4月20日にリニューアルオープン。「キッズが思う存分遊べるアクティビティもできたってよ!」とSNSや新聞で情報を入手したので、子どもたちを愛車(軽バン)に詰め込み、いざ出発!
出発が遅くなったもので、先にお昼ごはん済ますか、と向かったのは「豊岡といえばここ!」と名を馳せる名店「TANIGAKI」。
休日は混むだろうけど、オープンすぐならそない待たずに食べられるやろ~と意気揚々と鼻息荒く向かうも、店先には無慈悲なメモが……。 残念無念。また次回(できれば夜の部に行きたい所存)。
帰っておいで、私の冒険心!!
凹む母をしりめに子たちの「おなかゲージ」は減る一方。空腹度と不機嫌度はきれいに比例するもの。以前、このあたりに住む友人に美味しいと聞いたラーメン屋に飛び込み、おなかを満たす。「マックスバリュー日高店」内のラーメン冨貴だ。 おしゃんなレストランの予定がスーパーの中のイートインか……と意気消沈してしまったけど、ところがどっこい、想像以上に美味しくて一気に機嫌がもどり、気力が復活する母。
私が注文したのは「但馬玄(たじまぐろ)肉そば」。
但馬牛のすじ肉と牛脂がどーんとのっかるまぜそばだ。その雄姿を見て、脂のインパクトに少々たじろぎ、胃腸への負担を懸念したけど杞憂に終わる。やわらかく口の中で溶けていく脂に重さはなく、やわらかな旨味が口の中に広がる。 後方支援してくる麺も但馬玄に負けない存在感。なにより水菜と青ネギがどばーっと乗っているのが、カロリー爆弾の罪悪感を若干減らしてくれる。
いやはや、ここむっちゃ穴場かも。子どもたちもそれぞれ完食。
旅先名物、「スーパーでご当地食材を探すタイム」も経て、いよいよ植村直己冒険館へ。
到着!……するも、んん? 建物が見当たらない。
けど入口はこちら、と看板は出ている。入口は地中に入っていくスタイルで、植村氏が幾度となく旅をした山のクレバスを表しているそう。なるほど。
入場券は①博物館のみ、②どんぐりbaseのみ、③①+②の3パターン。後ろから聞こえる「早くどんぐりbase行こうや!!」の声に聞こえぬふりをして私たちは③を購入。
まずは博物館に。
豊岡で生まれ育った植村氏の経歴を追い、遺品とともに偉業を紹介する。植村氏の残した思想や言葉が展示されている。
長い間ぐーすか眠りこけていた私の冒険心……。植村氏の残した言葉を読み込むほどに、その冒険心に火が灯されていく。カチッカチっ、ボッッとチャッカマンで爆竹に火をつけるばりの瞬発力。
これだよこれ! 勇気、冒険、未踏の地へのアドベンチャー!
ただただ「地点」を目指すだけでなく、僻地に住む人と生活を共にしたり、文化を学んだりしながら道なき道を切り拓く様、その生き様のかっこよさったら……。
googlemapを開いたら世界のどこにいたってある程度の景色は画面越しで見られちゃうこのご時世。その画面の向こうの景色を見に行ってやろうというアドベンチャー精神、その気概こそ今の時代に必要なのかもな……と思う。
次に「犬ぞりとテント体験コーナー」にて、「世界のウエムラ」の気分を体験することに。植村氏はこのような設備で北極圏を横断したのと思うと、軽バンで走りながら「豊岡遠いな~」とか言うてる自分の甘さをひしひしと感じる。ウエムラはそんなことを決して言わなかっただろう。知らんけど。
ネットの野山を駆け抜けろ!
博物館を出ると、植村イズムを継承する冒険家の方々の紹介パネルが展示してあったり、太平洋横断にチャレンジした気球などが展示してあったりした。ゆっくりじっくり見たいコーナーがあるのに、子どもたちの興味は、目指すどんぐりbaseに一直線。 ガラス張りの建物の外から、ネットの遊具が見えて、そら魅力的。
このどんぐりbase、じつはお泊りができる! という魅力的なプランがある。
「植村直己冒険館 どんぐりbase 遊んで泊まれる『ぼうけんステイ』プラン」だ。
夜も遊具で遊べて、博物館をゆっくり堪能でき、室内屋外でテントを張り外でBBQも楽しめる……という最高なシチュエーション。飲酒NGなのがネックではあるけど、思う存分遊べて、博物館に泊まれちゃう非日常感は子にも親にとってはうれしい体験! 近々お泊りしたいものです。
いざ入場。子どもたちは一直線で網に飲み込まれる。
この日は休日だったので、1時間のパスを受付で渡される。けれどそんなに混雑することもなく、時間越えても再度申請すると延長のパスを出してくれました。
このネット遊具(ホワイトあみあみマウンテン5ピークス)は大人もOKなので、私もポケットを空にして乗り込んだものの、体幹がふらふらで足元がおぼつかず、2分で息が上がる始末。かたや子たちはノンストップでネットの野山を走り回って飛び回って……ああ、若さってプライスレス。
この地下には「ぐんぐんホール」という5歳までのエリアもあり、ちびっこたちがアスレチックを堪能している様子を、私は柱の陰からにんまり眺めておりました。子どもたち、かわいい……。 暑い日も雨の日も雪の日も子どもたちを思う存分”放牧”できる、こういう施設って最高にありがたい。
子どもたちはグイグイ、母はハラハラ
ここには「やっほーツリーイング」と「えべれすとウォール」という2つのわくわく体験プログラムなるものがある。
外にぶら下がるロープ、壁にぼこぼこついているクライミングウォールに、子どもたちも遊びながら気になったらしく「やりたい!」との申し出が。
話し合いの結果、本日は3人とも「やっほーツリーイング」に挑戦することに。
開始までちょっと時間があったので、地図で気になっていた「ぼうけんアスレチック」へ。
ちょっと小雨がパラつく日ではあったけど、なぜか他のお客さん誰1人いない。
広々とした野原に木の遊具が、ドン、ドンと置いてあり、ワイルドに遊びたい子どもたちは大興奮!
うっそうとはしていたけど、本当に心地の良い場所……なのになぜ誰もいないの……。
貸し切り状態であれやこれや遊んでいたものの、やっほーツリーイングの時間が来たのでどんぐりbaseに戻る。
予約の時間の参加者は子たち3名と少年1人。お兄さんの指導のもと、ハーネスとヘルメットを着用。
登りたいロープを選び、登り方の指導を受ける。意外と簡単そうで小1の娘もノウハウをすぐ飲み込んでいた。
登り始めると、ハーネスを付けているので安定感もあり、ぜんぜん怖がることもなく、むしろ母は港の女のようにただ地上からハラハラしながら見守るだけ。
当の本人たちは「たっっのしーーーー!!!!」とグイグイグイグイ上がっていき、長男は早々に天井にタッチ。
やはり上からの眺めは絶景らしく、「いろいろ見える!」と興奮した様子。
降りるのもツーーーーーとなめらかに滑り落ちる子たち。30分間で長男は5回、次男は3回、娘は2回登り、終了時間が来たときは「またやろう!!!!」と息まく方々。
てかさ…、
っつうかさ…、
私もヤリタカッターーーーーーーーー(大声)!!!!!!!!
これなら腕力なくったって、自重が若干アレでも、すいすい木登り体験できるなんてなんて楽しそう……ワンオペなので今回は撮影係に徹したけど、けど! 次回こそは私もやったんねん!!
ほぼ半日堪能し、最後に推しスーパーに立ち寄り、豊岡を後にしました。 今度は絶対「ぼうけんステイ」でお泊りしたい所存。
夢みる頃をすぎても、冒険はいつも日常の隣にあり、私の知らない場所もまだまだある。 北近畿をステージに、私の冒険の日々は続いていくのだ。
【今回、ウタコが訪れた施設・店のデータ】
施設名 | 植村直己冒険館 |
住所 | 兵庫県豊岡市日高町伊府785 |
TEL | 0796-44-1515 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
休館日 | 水曜 |
※営業時間、定休日はすべて2021年7月20日時点のものです。
店名 | ラーメン冨貴 日高店 |
住所 | 兵庫県豊岡市日高町土居367(マックスバリュー日高店内) |
店名 | ガンピー穀物倉庫(推しスーパー) |
住所 | 兵庫県豊岡市日高町国分寺228-1 |
【今回のお小遣い】
昼ごはん
<冨貴>
・チャーハン定食 950円
・餃子定食950円
・但馬玄肉そば1030円
・ミニラーメン440円
<植村直己冒険館入場料>
おとな:770円 こども:770円×3
やっほーツリーイング体験代 1000円×3
生きることは旅すること。ハイボール片手に、「通い猫」と「3人組」を愛でながら生きる会社員兼おかん。京都府綾部市在住。
https://www.instagram.com/utaco_1211