季節のうつろいを感じながら
まろやかカフェランチを満喫
「GREEN」の黒毛和牛ハンバーグランチ 1,300円
+食後のおやつ「GREEN DONUT+(ドーナツプラス)」のドーナツ。プレーン80円、きび和糖付90円
最初に訪問したとき、森を背負い、緑に囲まれた外観に秒速で魅了された。玄関につづくアプローチを歩くだけで気持ちが弾んだことを覚えている。福知山市長田上松にある「COFFEE&LUNCH GREEN」の話だ。
初回訪問時、店内に足を踏み入れた瞬間、カウンターに女性ひとり、奥の部屋に女子会グループと母娘、左手の部屋に1組の若いカップルがいて、それぞれ楽しそうに食事をしている光景が飛び込んできた。女性客率がすこぶる高く、オレの目には彼女たちがとても華やいで見えたものだ。
今回は2度目の訪問。店内のどこに座っても外の樹木や庭園が見えるよう設計されていることに改めて感心。カウンターに座れば、キッチンの奥に広がる大きなガラス窓越しに庭園と林が見える。その庭園では季節の花が咲き誇っており、手前のテーブルにそっと飾られた紫陽花が季節のうつろいを教えてくれた。
ん、店内にいるのに、まるで森の中に佇んでいるみたいだぞ。そ、そうか、ここはGREENという店名の「森の中のカフェ」なのだ。
カウンターの奥がキッチンなので、調理をする女性スタッフのきびきびとした動きがよく見える。やがて料理を運んでくれた。感じのよい自然な笑顔を添えて。
今日の目的はこれ、黒毛和牛ハンバーグランチ(1300円)。ハンバーグに、サラダ、スープ、ごはんがつく。テーブルには、ナイフ&フォークだけでなく箸も用意されていた。食事の最中にナイフやフォークをよく床に落とす不器用なオレには、ありがたい配慮だ。
主役のハンバーグには「ちょっと待っててね!」と声をかけ、その奥に盛られた清涼感のあるサラダからいただいた。ドレッシングは自己主張しないタイプだったので、野菜そのものの味がわかる。スープは玉子スープで、こちらもすっきりした味で喉ごしがよい。
では、そろそろ“主役”を食らおうか。ぷくっとしたハンバーグの中央にナイフを入れる。おお、やわらかい。箸に持ち替え、ハンバーグの一片を持ち上げた。
「オレの口へようこそ、黒毛和牛!」
肉片は口の中でほろっとほどけ、肉汁の甘味が舌の上をめぐった。矢継ぎ早にハンバーグのひと切れにソースをからませ、口へ運んだ。ほくほく、うはうは。ソースは甘すぎず、酸っぱすぎない、たおやかでまろやかな味だ。
営業マンやトラックドライバーが定食屋さんでガツガツ食らう、濃い目のソースのハンバーグを“男性的な味”とするなら、このソースは“女性的な味”といえるだろう。オレはどちらも好きだ。箸は進み、あっという間に完食。やさしい味付けの料理をたいらげ、気持ちもなんだかまろやかになってきたぞ。
食後、店主の高橋恭子さんにハンバーグに使っている黒毛和牛について問えば、「私が気に入って選んだお肉なんです」と教えてくれた。なるほど、店主自身が“舌”で選び、納得して仕入れている肉なんだな。選りすぐりの黒毛和牛よ、オレの胃袋に移動してくれてありがとう。
高橋さんは店のコンセプトというべきことも話してくれた。
「女性がひとりでも気軽に入りやすいお店にしたかったんです」
おお、そのとおりの店になっているではないか。オレは、黒毛和牛がおじぎをするみたいにして無言でうなずいた。
そうそう、前回、ランチのあとで食べたドーナツのことも書いておかねば……。GREENは今春、店舗の隣にテイクアウト専門のドーナツ店を開いた。店名は「DONUT+(ドーナツプラス)」。GREENで飲食をするお客さんは、店内でドーナツを注文し、できあがったドーナツを店内で食べることもできる。
特徴は無添加であること。卵は福知山市大江町の「グリーンファームソーゴ」のものを使っている。「売り切れ次第終了」なので、そわそわしながら出かけたが、無事、お昼にゲット。プレーン1個(80円)、きび和糖付1個(90円)を購入後、いきなり店頭でパクパク。おお、雑味のない素朴な味だ。とても気に入ったぞ。
(高橋さんがドーナツを販売するに至った理由と完成するまでの道のりには、ちょっとした“物語”があります。書けば長くなるので、この“アナザーストーリー”は、また別の機会に)
店名 | COFFEE&LUNCH GREEN(グリィン) |
住所 | 京都府福知山市長田上松2074 |
電話番号 | 0773-27-7617(予約は電話のみ) |
営業時間 | 11:00~16:00 DONUT+(ドーナツプラス)は11:00~売り切れ次第終了 |
定休日 | 日曜日・月曜日 |
※上記データと料金は2020年7月9日現在のものです。
倉田楽 京都・福知山事務所代表。フリーの編集・ライター。美しいフォームでの「自撮り逆立ち」の追求をライフワークとする、神出鬼没で予測不能の男。