兵庫県丹波市からやって来たカヨちゃん&ドラマちゃんが福知山市中心部を実際に歩き、肌で感じたエリアの魅力をイラストと文章で紹介する特集の第2弾。今回めぐったのは、福知山市のシンボル「福知山城」を中心とするエリアです。
福知山城探索後、ハンドメイド体験や人気セレクトショップ訪問でウキウキ、文化財や工場見学で新発見、お土産選びでわちゃわちゃ、地元で人気の飲食店や通好みのダイニングバーで興奮MAX。
そんな2人のプチ旅観光が、福知山をよく知らない人には観光の手引きに、よく知っている人には福知山の魅力再発見につながれば幸いです。
【前編】福知山城探索&ハンドメイド体験編 公開中
【中編】ランチ&話題のショップで女子力アップ編 公開中
【後編】歴史的建造物・老舗せんべい工場見学編 公開中
【最終編】福知山グルメと無国籍ナイト
~カヨちゃん&ドラマちゃん、また逢う日まで福知山!!~ ←今回はココ!
【番外編】カヨちゃんとドラマちゃんの「おみやげセレクション」 公開中
取材・文=小林佳代子(カヨちゃん)
イラスト=まつざきさいか(ドラマちゃん)
カヨちゃん(小林佳代子)
Webメディアでライフスタイルの提案のほか、丹波地域の気になるモノやコトを女性ならではのゆるやかな視点で紹介する情報発信クリエイター。
現在3歳の女の子の育児中。カフェやスイーツが大好き。気になるスポットを発見したら誰かに紹介したくてうずうずしてくる性格。ドラマちゃんとは不定期でインスタライブ「画面越しのランデ ブー」を開催し、丹波周辺の美味しいものを紹介している。
LINK ブログ「ここちいい暮らしノート」/「丹波しるみる」インスタグラム / カヨ☆ここちいい暮らし探究ブロガー
ドラマちゃん(まつざきさいか)
仙台市生まれ、南仏育ちのイラストレーター/デザイナー。海外をうろうろした後、2019年に縁あって兵庫県丹波市へ移住。2020年春、仕事が一度根こそぎ吹っ飛んだのをきっかけ に、オンラインスナック「ドラマ」を開店。チーママとしてお客のドラマをネタに描いていたところ、カヨちゃんと出会う。こう見えて下戸で元コミュ障。著書に絵本作品『なーんだ』『あまのいわと~らんぼうなとらとやさしいらいおん~』 がある(共にsaïcaの表記でWAVE出版より発売)。
LINK Instagram / Saicaホームページ
【福知山城周辺エリア】プチ観光MAP
今回まち歩きした全体マップはこちら!
今回は「福知山グルメと無国籍ナイト」
紫で色付けした07と08のスポットをめぐる記事です。
07~08の各イラストをクリックすると、各スポット紹介記事へ移動します!
07.たらふく
陽気な大将が腕をふるう
旬の魚料理を全身で堪能
福知山城エリアのプチ旅観光は、ここから最終章に入ります。
17時過ぎ。2人が向かったのは、福知山城から徒歩10分ほどのところにある「お食事処 梁山泊 たらふく」。
舞鶴や宮津の漁港から仕入れた新鮮な魚介類と、地元産の食材を使った料理を堪能できる和食の人気店です。
前回の「広小路・新町商店街エリア」夜の部で、おいしいものを食べまくるドラマちゃんたちにジェラシーを感じた私。
今回は夫に娘のお世話を託し、「仕事なので行きます。夜の部、私が参加して、渾身の記事を書きますから!」と高らかに決意表明しての参加となりました。
頭上には、迫力のある達筆な字で「たらふく」と書かれた一枚板の看板。左手には、ドンと鎮座する身長1メートル強の大きな信楽焼の狸。
玄関の佇まいに「あぁ、ここは大人の時間を過ごせるうまい店」だなと感じとり、ドラマちゃんと2人、顔を見合わせてにんまり。
引き戸を開けると、出汁のいい香りが漂ってきた。
まず目に入ってきたのが、常連さんの焼酎や日本酒のキープボトルがずらっと並ぶ棚。
いいね~。子育て真っ最中の私は、最近お酒が飲めるお店に行く機会がめっぽう減っていたので、心の中で小躍り状態。いや、福知山音頭だね。
今回はドラマちゃんを車でおうちまで送り届けなきゃいけないから、お酒は飲めないのですが、参加できただけでも良しとしよう。
たらふくの大将・金澤正典さんと話をしながら料理を堪能できるよう、カウンター席に案内してもらいました。
カウンターの上にあるショーケースには蟹やカレイなどその日仕入れた日本海の幸や、ニシンと茄子の煮物などおばんざいメニューが並んでいます。見ているだけでもう頬っぺた落ちそう。
席に着いて、熱々のおしぼりのおもてなしにほんわかしつつ、本日限定メニューが書かれたお品書きを見る。
焼き白子やエイヒレの炙り、若鶏の塩焼きといった、いかにもお酒に合いそうなメニューから、金目の煮つけやエビフライ、カキフライといった夜ご飯をガッツリ楽しめそうなメニューまであるじゃないですか。
「これはたまらんね。早く注文して食べようよ! そして、まずは乾杯だね!」とドラマちゃん。
「だねだね! 何にする、食べたいものが多すぎて決めらんないよ~」と、さっそく盛り上がる。
とりあえず、最初の1杯ということで、ドラマちゃんはハイボール、私はウィルキンソンソーダで乾杯!
夜の「たらふく」は、人情味があり、活気があふれる庶民的な割烹料理店でありながら、料亭のような小粋さと大将の料理人としての矜持が感じられるお店。
私は福知山市で絶賛上演中の「たらふく劇場」を楽しむひとりの”観客”のつもりでした。ところが、カウンターという特別な舞台を用意してもらい、しかも”主客”として大事にされているという高揚感と幸福感を覚え、ソフトドリンクなのに気持ちよく”酔え”そう。
再びメニューを覗き込み、「どれだ、これにするか?」と2人で迷っていると大将が「造りの盛り合わせはどう?」と声をかけてくれる。
たらふくには生け簀があり、捌きたての新鮮な刺身を食べることができるんです。
そっか、このお店は魚料理がおいしいって教えてもらっていたことを思い出し、すかさず「お願いします!」と2人とも勢いよく返事。
そして出てきたのがこちら。
マグロ、タイ、イカ、カンパチ、タコの頭の5種盛り。すべてその日に仕入れた舞鶴や宮津産の魚介類。
じつは私、舞鶴でマグロが捕れるなんて、初めて知りました。遠い海でしか捕れないと思っていたのでびっくり。
ほ~、おいしい。と、しばし刺身に見とれていると「塩もつけて食べてみてね」と大将。
黒い石のプレートに少しずつ盛られた塩とわさびが絵になる。
左から、新潟の海水を煮詰めた藻塩、英国王室御用達の岩塩、柚子胡椒、からすみ塩、そしてわさび。ひとつの作品みたいで思わずため息が漏れました。ふぅ~。
柚子胡椒はマグロに、からすみ塩はイカにつけるとぐっと旨味が増すんだって。
取材なので頑張ってメモを取っている私の横で、すでにほろ酔い加減のドラマちゃんが何やら唸っている。
「ちょっと~カヨちゃん、メモしてる場合じゃないよ、早く食べてみてよ~。マグロとろってる~」と、ドラマちゃん自身がとろけてしまいそうな表情。
「私だって食べたいよ! もう食べるよ!」と宣言して口に含んだ。
新鮮な魚はコリコリとした食感。脂がのったマグロやカンパチは口の中でとろける。
塩で旨味が引き出される。ピリッとした柚子胡椒がアクセントになる。
あぁぁ、おいしい。ドラマちゃんをはじめ、夜のプチ旅の参加者は、前回こんなにいい思いをしていたんだな~。最高じゃん~。
と、私も同じくとろけそうな顔になっていたはず。
そうこうしているうちに、注文した料理が次々に運ばれてくる。
「茄子ニシンです」
「わー、お出汁がシミシミ! たっぷりしゅんどるわー」と私。
「えっ、しゅんどるって何? 方言? 初めて聞いたけど、食べたら意味わかる気するわ。しゅんどるわ~。これは頭抱えるうまさやー!!」と、小刻みにふるえながら大感動のドラマちゃん。
お次は「さば寿司」。
「すっごく肉厚のサバやん!」
「大きい! 1個で食べ応え抜群やん」
「お酢かげん絶妙やな。さすがプロの仕事やな」
などと、見た目や味の感想の言い合い合戦が始まる。
そのやりとりを見て、「2人おもろいな~。もうずっとそこにいて、旨い旨いって言うといて~」と大将。
すかさずドラマちゃんは「うん、私、ここんちの子になりたい。寝泊まりしてもいい? もしくは丹波市に2号店出して! 私、女将やるから!」と、酔っ払いらしく大胆かつ意味不明のリクエスト。
「ええで~!!」と、大将もニコニコ笑顔。
酔いがまわって、なんだかおもしろいやり取りが始まったぞ。ドラマちゃんと大将の息ぴったりやん。
その様子を見ながら私は、ここぞとばかり絶品料理を食べ続ける。今日は私もいい思いをするんだ。人気の福知山グルメを、夜の「たらふく」を、味わい尽くすぞぉ~。
ドド~ンと迫力を帯びて出てきた料理は「マグロのスペアリブ」。
脂ののったマグロの頭を香ばしく焼き上げた逸品。
大根おろしに醤油をたらし、魚と一緒につまむか、レモン果汁を絞ってふりかける。どちらも後味はさっぱりしており、箸が進む。
ここでドラマちゃん、お酒をおかわり。
たらふく名物の「日本酒呑み比べ」に挑みます。
全国から厳選した13種類もの日本酒の中から3種をチョイスし、なんと600円で呑み比べできるというお得なサービス。
今回は「店主おまかせ」をオーダー。大将に、山口県の「獺祭(だっさい)」、秋田県の「翠玉(すいぎょく)」、和歌山県の「あがら生原酒」の3銘柄を選んでもらいました。
酔っ払いのドラマちゃんに、3種類の味の違いが判別できるのかと心配していましたが、まったく問題ありませんでした。
「翠玉、飲みやすいね~。すいすい行っちゃいそう。獺祭は味わい深いな~。あがら生原酒はスッキリした味わいかな~」と、愉快に語るではありませんか。
よかった。安心した。味がわかるということは、まだ酔いつぶれていない。
3種の日本酒でご機嫌MAXになったドラマちゃん。店内に流れる懐かしの歌謡曲に合わせて鼻歌が混じる。
〆にお願いしたのは「アンコウ鍋」。
このボリュームで1人前。肉厚アンコウが折り重なっています。小皿にちょこんと盛られているのは、皮と身と胃を湯通しした珍味。アンコウ鍋はたらふく特製の自家製ポン酢でいただきます。
じつは魚の鍋が苦手だった私。でも、たらふくのアンコウ鍋は魚の臭みがなく、出汁やアンコウ、野菜から出る旨味がたっぷり。「もう一度、今度は家族と一緒に食べに行きたい。夫や娘とこのおいしさを共有したい」と思わずにはいられない逸品でした。
寒い季節にぴったりのメニューですね。
この日はお客さんがいっぱいで、大将はとっても忙しそうでした。それでも、大将の仕事が落ち着いたときに少しだけ話ができました。
大将は大阪府高槻市にあるホテルで料理の修業をされたそう。
お父さんが当時、福知山市で和食の店を経営していたので、「自分は中華を勉強しよう」と考えてそのホテルに就職したそうです。そこで「お前は和食やろ」と上司に言われ、「何でですのん!」と思わず突っ込みたくなったとか。
しかし、和食の修業をされたからこそ、いまの「たらふく」があり、今日私たちがおいしいものを食べさせてもらっているんだな~と思うと、当時の上司に感謝ですね。
「海のない福知山だけど、できる限り新鮮な魚料理を楽しんでもらいたい」と大将。
その心意気をあらわす生け簀が店内にあるほか、お客さんが希望する魚を仕入れることもあるそうです。
当日カウンター席の隣に座っておられた常連さんらしきご年配の方には、「○○さんは、○○が苦手でしたね。そしたらこっちのはどうですか?」と、お客さんの好みを把握したうえで、料理の提案をされていました。
そんな様子を眺めているうちに、「たらふく」に常連が多い理由と、常連になるお客さんの気持ちがわかってきました。
私の隣に座るドラマちゃんは、もう完璧に胃袋も心もつかまれていましたね。ドラマちゃんはいつの間にか大将とお友達になっていましたよ。
こんな調子で「たらふく」で、海の幸・山の幸をたらふく食べて飲んだ2人。
そのあと、お会計時に驚くことがありました。
お料理は、アンコウ鍋を入れて6品。飲み物は、お酒2杯とソフトドリンク1杯。2人で全部をたいらげて、1人約3,000円という料金。
「えっ! これ、お会計間違ってない? 安すぎない?」と心配になるくらいリーズナブル。
家計を握る主婦としてもありがたいお店です。
お母さんたちも、たまには子どもを夫に託して、「たらふく」で羽根を伸ばしてみませんか。
素材にこだわる大将の想いがつまった料理やお酒を、ぜひ堪能してみてほしいです。
「たらふく」の住所・連絡先、営業時間など詳しく知りたい人は下記ボタンをcheck!
さて、夜のプチ旅観光は、このあとも続きます。
お次は「ランチ&話題のショップで女子力アップ編」で登場した、日本とトルコをつなぐコーディネートや翻訳、通訳をしているかずちゃんと、その妹でヨガの先生をしている村上ヨガ子ちゃんも登場。
その2人が紹介してくれたバーへ向かい、夜の福知山の街を、千鳥足でさまようドラマちゃんと、それを支えるカヨちゃんの姿が闇に溶け込んでいくのでした。
08.ルチャ・デル・ソンブレロ
ロック魂がほとばしる驚愕のコレクション
異国にあるようなバーで酔いしれる夜
「たらふく」を出て、次に向かったのは「ゆらのガーデン」駐車場から徒歩3分ほどのところにあるバー「LUCHA DEL SOMBRERO(ルチャ・デル・ソンブレロ)」。
お店の場所はすぐにわかりましたが、店頭でしばし佇む私とドラマちゃん。
だって、なんだか怪しげな雰囲気の外観なんですもの。LUCHA(ルチャ)はスペイン語で、たしか「戦い」「闘争」って意味ですよね。SOMBRERO(ソンブレロ)は、メキシコ人が愛用する伝統的なつばの広い帽子。ということは、LUCHA DEL SOMBREROは「つば広帽子の戦い」「ソンブレロ戦争」って意味の店名ですか?
「OPEN・WELCOME」と描かれた看板は見えるけど、ほんとに入ってもいいの?
福知山はもとより、私の記憶をたどっても初めて目にする店構え。未知との遭遇だ。そこに足を踏み入れることに躊躇してしまう。
「ここ、だよね? ここ入っていいんだよね」と恐る恐る、大きなゴールドの取っ手がついた少し重い扉を開けると……。
あれ? 今、私たち、福知山にいるんだよね。お昼に観光した福知山城の近くにいるんだよね。
「まさか、私、2020年ではない時代の、日本ではない国へワープしてしまった?!」
目の前には、黒やダークな赤を多用する中世のゴシックデザイン、ロックンロールやオールディーズのテイスト、黒ヒョウやピンクのフラミンゴなど動物のオブジェ、ドクロをモチーフにしたグッズ、中南米の香りがするアイテム、ミッドセンチュリーの家具……。
懐かしくて同時に近未来感が漂う不思議な空間が広がっていました。
「わ~、すげ~や」とドラマちゃんもポカ~ンとした表情。
足を踏み入れたフロアで直立不動のまま固まる2人。すると左手にある席からにぎやかな声が聞こえてきた。
「おーい、カヨちゃん、ドラマちゃん。こっちだよ~、早くおいでよ~」
声がするほうを見ると、そこには日本とトルコをつなぐコーディネートや翻訳、通訳をしている村上佳寿子さん(かずちゃん)と、ふくたん編集長の倉田楽さん。そして今回このバーを紹介してくれた、倉田さんのヨガの先生、その名も村上ヨガ子ちゃんの姿が……。
ふと彼女らのテーブルに目をやると、すでにあいたグラスや食器が散乱。
私とドラマちゃんが「たらふく」で満腹になりかけていたころから、こちらのお店でも「夜の部」が繰り広げられていた模様。そうか、そうだよね、夜の宴はいつも同時進行。しびれる福知山ナイトだ。
ルチャ・デル・ソンブレロの非日常的な雰囲気と、お酒で陽気さが増した彼女たちの宴席に、私たちも合流。
「ねぇ! たらふく、おいしかった?」
「このバーかっこいいでしょ!」
「フードメニューもおいしいよ!」
「カヨちゃん、ドラマちゃんはナニ飲む?」と、かずちゃん&倉田さんのトークがマシンガンのように浴びせかけられる。
まってまって。着いたばかりでこのお店の雰囲気にもまだ入り込めてないし、はじめて会うヨガ子ちゃんとも挨拶してないよ。
ということで、ひとまず落ち着き、綾部と福知山でヨガ教室を運営している村上ヨガ子ちゃんにご挨拶。
彼女はかずちゃんの妹。姉に負けず劣らず「誰とでもすぐに友達になってしまう才能」を醸し出しています。パワフルでフレンドリーな村上シスターズなのです。
ゆるっとした口調で「ヨガを教えているヨガ子でーす。教室にもまた遊びに来てね~」とニコニコ。
その後、なぜかヨガ子ちゃんのこれまでの恋愛体験をみんなで聞く流れになったのですが、その話はまた今度。
さて、さわがしい自己紹介と恋愛エピソードが終わったところで、メニューを見る。
私は車の運転が控えているのでノンアルコールメニュー。
これがびっくり! アルコールメニューはもちろんのこと、ノンアルバージョンもとっても豊富。
しかも、リキュールを割るドリンクまで選べる。わーい! これは予想しないサービス。
私が最初に注文したのは「レッドチェリー・フレッシュジュース割り」、ドラマちゃんは「パイン・ソーダ割り」。
左・レッドチェリー・フレッシュジュース割り。右・パイン・ソーダ割り。
「ひゃー、おっしゃれ~」
2人とも同じリアクション。
夜なのにサングラスをかけたマスターがカクテルやグラスなど、お客さんの雰囲気に合わせて選んでくれているよう。
どちらもノンアルコールなのですが、そのビジュアルや味から、まるでお酒入りのカクテルを飲んだような高揚感を味わえます。
メニューになくても、飲みたいイメージをマスターに伝えるとオリジナルカクテルを作ってくれるというので、2杯目は「ミルクベースでデザートになるドリンク」をオーダー。
すると出てきたのはこちら「ティラミス味のノンアルカクテル」。
ティラミスのカクテルなんてはじめて! どんな味なの~?
期待感が満タン状態で一口飲んでみると「ぎゃ! これはノンアルカクテル界のスイーツや~」と彦摩呂ばりの食レポ言葉がもれる。
フードを食べた後、甘いものが欲しくなったときは、デザートカクテルをオーダーしてみてください。満足できること間違いない。太鼓判を押しておきます。
ドラマちゃんの2杯目は「モヒート」。
なんとマスターがおうちで育てているミントを使った一杯なんだって。
こちらは「食後にすごくさっぱりする~ミントが最高にフレッシュ!」とドラマちゃんも上機嫌。
お腹はいっぱいだったけれど、ヨガ子ちゃんたちが注文したフードメニューも気になったので、少しいただいてみる。
イカ墨パスタは生臭いイメージがあって、いままで敬遠していましたが、ここのパスタは臭みもなくコクと旨味がたっぷり。スイスイスイっと食べられる。
ひとくちだけの予定が、気がつくと小皿をもらって、しっかり自分の取り分を確保していました。
もう一品はベーコンとマッシュ―ルームがのったピザ(1,300円)。
カリッとした香ばしい薄焼きの生地が特徴。トルティーヤの生地を使っているので、メキシコ風かしら?
おつまみ感覚で、カクテルとの相性もいい。
「ねっ、フードメニューもおいしいよね!」とかずちゃん。
「ほんとだねー、なんかおなかいっぱいなのに、食べちゃってるよ」とドラマちゃん。
赤海老のカルパッチョや、アヒージョなどのカフェで出てくるようなおしゃれメニューや、季節限定・産地直送の牡蠣料理に、ワニの手の香草焼きなんていう珍味メニューもあったりする。
お酒だけかと思いきや、しっかりご飯まで食べることができるバーなんです。
私たちの注文がひと段落したので、マスターの吉浪弘人さんにお話を伺うことができました。
長身で腕にはタトゥー、サングラス姿のマスターを見て、お話してもらえるかな、と内心びくびく。
しかし、お名前を伺うと「そうだね、『ヒロさん』と呼んでくれたらいいよ」と気さくに応じてくれたので、ひとまずほっとしました。
記事上でも、ここから親しみをこめて「ヒロさん」と書かせてもらいますね。
ヒロさんは以前、福知山駅の北口で「TWO FACE」というバーを20年間営業されていたそう。20年をひとつの区切りとして、お店を畳んだ後、5年前にこの場所に「ルチャ・デル・ソンブレロ」を新たにオープン。
もともとはバンドマンで、東京や大阪でバンド活動をされていました。
その後、大阪ミナミのバーでアルバイトをしているとき、故郷に帰り、自分のお店を持ったらバンドも続けられるのではないかと考え、最初のお店をオープンしたそうです。
ふむふむ、やっぱりバンドマンだったんですね。そんな気がしていました。だってロックンロールがずっと流れているし、店の奥にはウッドベースが置かれている。
それにね、もともとトキメキレーダーのほかに「バンドマン好きセンサー」も搭載されている私。早い段階でキャッチしていましたよ。
すかさず「ベーシストだったんですか?」と質問。
「うん、そう。今でもときどき福知山のライブハウスで演奏したり、ライブを主催したりしているよ。打ち上げにうちの店を使ってもらったりもするんだ」とクールなヒロさん。
じつは私、学生時代にベースを弾いており、ライブハウスに入り浸っていました。演奏レベルはきっと天と地ほどの差があると思いますが、勝手にヒロさんに親近感を覚えました。
気になって仕方がなかった「ルチャ・デル・ソンブレロ」という店名は、ヒロさんが大好きだという日本のロックバンド「THE COLTS(ザ・コルツ)」のライブツアータイトルなんだそう。
ツアーの際にライブハウスに掲げるフラッグをTHE COLTSのメンバーから正式に譲り受け、「店で使っていいよ」と言ってもらったヒロさん。
フラッグのデザインをお店のロゴマークにされています。
トイレにまでTHE COLTSや、自身が好きなアーティストのポスターなどが所狭しと飾られています。
バンドや音楽に注ぐエネルギーが、この店とヒロさんの原動力になっているんだなと感じました。
「店内の装飾品。珍しそうなものや、高級そうなものもあるけれど、これはどこで集めたんですか?」とドラマちゃんが質問。
するとヒロさんは、雑貨やアンティークへの愛を語ってくれました。
「京都や大阪のアンティークショップをまわって探したものが多いかな。今はネットで世界中のモノを探すことができるしね。こつこつ30年かけて集めたんだ。古いものには現代にない魅力が詰まっている」
1950年代~1970年代の宇宙開発時代に流行った、近未来を彷彿とさせる「スペースエイジ」と呼ばれる雑貨やインテリアと、アメリカンロックテイストなどが入り混じる店内。
ジャンルが違うインテリアや雑貨をヒロさんの美意識で編集し、センス良く溶け込ませているのが、ルチャ・デル・ソンブレロならではのスタイル。
異国のカルチャーがごちゃまぜになったカオスのような空間でありながら、ゆっくり滞在したくなるのは、ヒロさんの選択眼と編集センスのレベルが高く、大人が居心地の良さを感じるポイントを心得ているからだろうなぁ。
イメージしたアイテムが見つからないときは、なんと自分で作ってしまうんだとか。
店内の奥にある重厚感たっぷりの扉も自作。うーん、ロックだ!
東京で暮らした経験がある、ドラマちゃんやかずちゃん、倉田さんも「これは大都会でも見たことがないお店だ。というか、日本全国どこへ行っても、こんなカオスのような店ないんじゃないか。それほどすごい!」と口をそろえて話していました。
そんなとき、「こんな部屋もあるよ」とヒロさんが案内してくれたのはVIPルーム。
写真はお見せできませんが、まるでエルビス・プレスリーみたいなアメリカの大物ロックスターがゆったり椅子に座って、葉巻をふかしているようなイメージが浮かんでくる。そんな特別な空間でした。
ささやかな願望がふくれあがりました。いつかドラマちゃんと私もVIP対応されてみたい、なんてね。
女性ひとりで入るのはちょっぴり勇気がいりますが、知り合いに紹介してもらい一度入ってしまうとクセになりそうなバー。
少し強面な感じの外見からは想像がつかないくらい柔らかな口調で、なんでも丁寧に説明してくれるマスターのヒロさん。これは女性ファンも多そうだ。
フードやドリンクメニューが充実しているのも「お客さんにゆっくり長居してくつろいでもらいたいと思っているから」と、マスターの心意気の賜物。
料理は自分で研究されているそうですよ。そんな一面も、あら素敵。
お客さんは、音楽関係者から、仕事終わりのサラリーマン、最近は大学生まで幅広いそう。
私も今度、お酒好きの女友達を連れて再び訪れたいと思いました。
「ルチャ・デル・ソンブレロ」の住所・連絡先、営業時間など詳しく知りたい人は下記ボタンをcheck!
会計を済ませ、最後にみんなで店の前で記念撮影。
見てください、この写真を。
「これはいったいどこ? 海外のバーなの?」
「どこかの国の怪しいバーに日本人女子グループが間違ってやってきて、店の前でとりあえず記念撮影したところ?」などと誰かがツッコミを入れそう。
ですが、ちゃんと福知山ですよ。
今までまったく知らなかった新たな福知山の夜の顔を垣間見ることができました。
ルチャ・デル・ソンブレロさん、このお店を紹介してくれたヨガ子ちゃん、ありがとうございました。
「ふぃ~、今日もおなかパンパン。いいもの食べさせてもらったぜ~。あとは帰って寝るだけ~。ふふふ~ん」と、またもや鼻歌が混じるドラマちゃん。
そんな夢見心地の彼女を車にのっけて、おうちまで送り届けるひと仕事が残っています。
が、夜の福知山をたっぷり堪能でき、お腹も心も満たされ、私も幸せ気分。ほっこり。
こんな機会を設けてくれた「ふくたん」さんにも、今日の出会いにも、家族にも感謝しながら家路を急ぐのでした。また逢う日まで、福知山!
(おわり)
プチ旅観光のおこづかい記録
ドラマちゃん、カヨちゃんがプチ旅で食べて飲んで、お土産を買ったりした金額をまとめました。
旅のお小遣いの参考になるとうれしいです。
■カヨちゃん
福知山城入場料:330円
福知山城ガイド料(ガイド1名):1,000円
丹波生活衣館:コースター作り:100円
朋友:酸辣湯麺:803円
Crouka(クローカ):「SACCA(サッカ)体験」:4,950円
足立音衛門:栗のケーキと明智蔵:4,600円
ちきり屋:踊せんべいと踊かさね:371円
たらふく:夜ご飯と乾杯のソーダ:2,995円
ルチャ・デル・ソンブレロ:ノンアルカクテル2杯+チャージ料:2,150円
合計:17,299円
■ドラマちゃん
福知山城入場料:330円
丹波生活衣館:絹糸ミサンガ作り:300円
朋友:天津飯:737円
Crouka(クローカ):「SACCA(サッカ)体験」:4,950円
足立音衛門:和三盆ビスケット:648円
ちきり屋:福知山アイス:360円
たらふく:夜ご飯とお酒2杯:2,995円
ルチャ・デル・ソンブレロ:ノンアルカクテル2杯+チャージ料:2,150円
合計:12,470円
福知山きちゃった! プチ旅観光MAP
第2回福知山城周辺エリア
プチ旅観光を終えたカヨちゃんのモノローグ
小林佳代子
2020年7月から5ヶ月間、福知山市内の18ヶ所の観光スポットやお店を旅して、イラストエッセイを連載させてもらいました。
ふくたんの特集「カヨちゃん&ドラマちゃんと一緒にまち歩き。福知山きちゃった! プチ旅観光MAP」は、この記事が最終回。これで完結となりました。
2回目のプチ旅観光では、福知山城周辺をめぐりました。
福知山のシンボルともいえるお城では、ガイドさんのおかげで新たな魅力や見どころに気づき、ランチやディナーでは、地元の人に愛される名店と味を知ることができました。
織り機でコースターを、セレクトショップでオリジナル調合のルームスプレーを作るなど女子力を磨く経験や、歴史的建造物や老舗おせんべい工場を訪ねる貴重な体験もできました。
今回は「夜の部」にも参加でき、私ひとりではきっと入れなかった、異国のようなお店に連れて行ってもらい、かずちゃん、ヨガ子ちゃんという新たな友達も増えました。
取材だからこそ得られた発見や体験、人との出会いが今回の宝物です。
この経験は今後も私の心の中で、キラキラととびきりの輝きを放ってくれることでしょう。
いつの日かまた、カヨちゃんドラマちゃんコンビで、まだまだ眠っているだろう福知山の魅力を発見できる日までライティングの腕を磨いておこうと思います。
私たちが取材したスポットが、これから福知山を旅する方はもちろん、福知山にお住いの方、さらには「今はなかなか移動できないけれど、落ち着いたら行ってみたい」と思われている皆さんに届くと嬉しいです。
リアルでも、WEB上でも結構です。記事を見ながら、それぞれの「プチ旅観光」を楽しんでくださいね。
FROM EDITOR
あなたの心地よい場所や店、味を見つけ、
福知山を歩き倒し、遊び倒してください。
特集「福知山きちゃった! プチ旅観光MAP」は、2020年夏に公開した「広小路・新町商店街エリア」と、2020年冬に公開した「福知山城周辺エリア」の2地区の記事をもって、いったん幕を下ろします。
「ふくたん」利用者の皆様、カヨちゃん&ドラマちゃんのファンの皆様、ご愛読ありがとうございました。そして、これからも何度でも読み返してください。
福知山市内をぶらぶらと歩いてみると、アチコチに居心地のよい場所や個性的な店があることに気づきます。そこで、まず観光資源に恵まれたポテンシャルの高い2つのエリアに着目。施設やお店、店主、商品、サービスなどの魅力をあぶりだし、惜しみなく伝えたいと考え、この特集を企画しました。
アタマの中にある特集のイメージをカタチにしてくれるクリエイターを福知山市周辺で探しまわること約3ヵ月。最終的に「この2人しかいない」と判断して紀行文とイラストを依頼したのが、丹波市在住のカヨちゃんとドラマちゃんでした。
彼女たちがもっている「ものごとをおもしろがるセンス」「ワクワクさせてくれるコトやモノを発見する能力」「はじめて会った人の特長をつかむ観察力」「感じたことを言葉や絵で表現する能力」は卓越しています。
そんな2人が実際にぶらぶらと街歩き。2人が紡ぐ言葉とゆるいイラストは、まち歩きのおもしろさ、知らない店を訪ねる楽しさ、店主と会話をするおもしろさを存分に伝えてくれました。「ふくたん」に才能を提供していただき、ありがとうございました。
カヨちゃん、ドラマちゃん、また逢う日まで、どうぞお元気で。
2人のプチ旅観光をWEB上で”追体験”してくれた皆様にも御礼を申し上げます。時間ができたら、実際に施設や店を訪ね、自分のお気に入りの場所や料理、商品、サービスを見つけてもらえたらと願っています。
福知山には、まだまだあなたの知らない見心地よい場所や店、味があり、個性的で魅力的な人がたくさんいます。どうぞ福知山を歩き倒し、遊び倒し、味わい尽くしてください。
「ふくたん」はこれからも、まち歩きの楽しさを見つけ、いろんな表現を駆使して、それを伝える案内人でありたいと思っています。これからも「ありがとう」ございます。
倉田楽 京都・福知山事務所代表。フリーの編集・ライター。美しいフォームでの「自撮り逆立ち」の追求をライフワークとする、神出鬼没で予測不能の男。